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私には、小さな時からついている味方がいる。
どんなときも私の味方をしてくれて、励ましてくれる。私が道を間違えそうになると、この手をそっと取り、
「こっちだよ」
と囁いてくれる。
私は彼を《天使さん》と呼んでいた。
彼の姿は見えない。ただ、きらきらと光の降るような感覚がして、優しく澄んだ男の子の声がするのだ。
「舞亜、こっちだよ」
「舞亜、大丈夫だよ」
「がんばれ、がんばれ」
「がんばったね、おやすみ」
きらきらと、暖かな言葉の宝物たち。天使さんがいるから、私は──怠け者で泣き虫で面倒くさがりな私は、今日まで頑張って来れたのだ。
天使さんは、優しい言葉をくれる。けれど、自分のことに関しては、何一つ語ろうとしなかった。
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