絶妙なあだ名

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絶妙なあだ名

ほぼ仁王立ちのまま、 京子ちゃんはスカートをガバッと 自分でめくり上げると、 真っ白なパンツのゴム部分を両手で握りしめ、 グググ〜っと上に引っ張り上げるのです。 それは成長期ゆえ、 大きめのパンツを履かされているのか、 それともおさがりでゴムがゆるゆるだったのかは 不明なのですが、 この習慣を京子ちゃんがやらない日はなく、 私たちは「またか…」といつもの光景を 無感情で見守っていました。 おそらくおかあさんに 「パンツはちゃんと腰まであげなさい」と 言われていたのだと思いますが、 この習慣を行うのは京子ちゃんだけでした。 いつしか、京子ちゃんには 『パンツあげ屋さん』と言う絶妙なあだ名が付き、 大人になってからは 実は京子ちゃんの名前を思い出せない私は 『パンツあげ屋さん』だけを覚えている状態なので 京子ちゃんという名前は定かではありません…。 本当に昔のお話なので、 『パンツあげ屋さん』は 絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)ではないかと 思うのですが…(笑)
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