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人間の死体から栄養を得た果物は、絶品の味わいだと云う。以前、そんな怪談を読んだ気がするが、網代君の近所の農家のオジサンも、どこをどう狂ったのか、それにチャレンジしてしまったらしい。
近くの樹海から拾って来た人間のパーツを畑に埋めて、トマトを育て始めたのだ。
樹海に入る人間は護身用に御守りを持っている事が多く、そんな御守り付きのパーツはを吸ったトマトは、夜中にボワッと光ると云う。
この畑に、網代君は盗みに入った。夜、人気の無い畑に立ち入ると土の上に蒼白い光りが見えた。
噂通りにトマトが光っているのだと思った。
だが良く見ると、それは畑から生えた何十本もの人間の腕で、ゆらゆらと網代君に手招きしていた。
盗みになど、入るものでは無い、とつくづく思ったと云う。
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