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「ひぇぇ〜。マジ?この雨。なんでこんな急に降り出すわけ??」
学校の帰り道。
急な夕立。
今日に限って、傘が鞄に入ってない。
もう!ついてない。
近くの公園の屋根のある所まで猛ダッシュ。
あっという間に、ビショビショ。ぴえん。
あれ?先客がいる。小さな小さな子猫。
まだ小さくて、ずぶ濡れのまま震えてる。
私はそっと近づき、横にしゃがむ。
濡れて疲れているのか、逃げていかない。
生まれて間もないのかな?
怖がらせないように、そっと撫でてみた。
逃げないのを確認して、しゃがんだ膝の上にそっと乗せた。
制服、ドロドロだけど、ま、いっか。
タオルを出し、子猫の濡れた身体を拭いた。
子猫は私の方を向き、
「みゃ〜」
と小さな声で鳴いた。かわいい〜。
その時、周りが明るくなるくらいの稲光が光った。
"あっ"
と思った瞬間。
ピシピシピシ、ドッカ〜ン。
地響きと共に雷鳴が響いた。
声も出ないくらい驚き、しりもちをついてしまった。
目を見開き、唖然としている所に、後ろから声が聞こえた。
「うおぉぉ。マジか。やばくね?これ。」
また、声も出ないくらい驚き、子猫を抱いたまま、私のイメージでは5センチくらい飛んだと思う。実際には飛んでないけど。
同じ高校の制服の男子だ。
目をまん丸にして、彼を見つめる私をみて、
「あ、ごめんごめん。驚かしちゃった?」
と言って、ニッコリ笑った。
「あれ?同じ高校じゃん?何年?」
子猫をしゃがんだ膝に抱え、子猫の方を向いたまま、手で"2"を作り、彼に向ける。
「そっか。俺、3年。学年違うとわかんないもんだな。」
彼は空を見ながら呟いた。
いえいえ、私はあなたを知ってますよ。
サッカー部の一ノ瀬さん。
「お前らも傘ねーんだよな?雷こえーし、雨止むまで一緒にいねー?」
そう言って、彼は私の横にしゃがみ、子猫を撫でた。
バクバクバクバク。
ヤバい。私の心臓の音。
これって、身体の外まで聞こえるの?
どうか、神様、私の心臓の音が彼に聞こえませんように。
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