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姉ちゃんの友達を好きになった。
「あっ、弟くん、お邪魔してまーす!」
学校から家に帰ると、ダイニングに見慣れた小柄な少女がニコニコと座っていた。同じ高校の夏服が、背伸びしたコスプレに思える程の低身長。幼さを加速させる童顔とツインテール。
姉ちゃんの幼馴染の、椿小春……さん。
キッチンで飲み物を用意している姉ちゃんが、小さく「おかえり」と言う。
「……どうも」
控えめに頭を下げると、
「今日もかっこいいね!」
親指を立てて軽口が飛んできたので、会釈で弾き返し、俺は自分の部屋へ向かった。
背後で二人の話し声が聞こえる。
「会う度にかっこいいって言ってるけど、弟のこと好きなら付き合えばいいのに。弟も多分、小春のこと気になってるよ」
余計なことしか言わない姉ちゃん。
「えー? 親友の弟をそんな目で見ないよ〜。それに、絶対私のこと好きにならないから、安心してかっこいいとか本人に言えるの!」
お姉ちゃんの友達なんて恋愛対象にならないでしょ、と小春さんは明るく笑う。
「どの辺がかっこいいの?」
「顔! 超タイプ!」
「そんなイケメンじゃないと思うけどな。年子だからか、私に似てるし」
「そう。だから霙の顔も超タイプ」
「ありがと〜」
きゃっきゃとお喋りが加速する一つ年上の女子たち。
俺は自室に入って、ずるりと脱力する。
「……好きな顔なら、好きになってくれてもいいじゃん……」
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