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第三章『メンチカツ』
・・・・・・
「好きだったんだね」
リナがポツリと呟く。
「分かんねぇ。けど、夕立に会う度にあの頃のことを思い出すのは確かだ」
「元気にしてるといいね、その清香ちゃんって子。どのくらい会ってないの?」
リナがしみじみと聞くと、
「ん~・・・3日くらいかな」
「3日!?」
「あ~、やっぱりいた!マサさ~ん!」
そこへ突然誰かがやって来るなりマサに抱き着く。
「やめろよ、清香」
「清香?もしかして今話してた?」
「清香ですけど、あなたは?もしかして彼女さん!?」
「ちっ、違うわよ。ただの友達」
「あ~、なら良かった」
何故か会って早々バチバチのリナと清香。
「夕立が去ったと思ったら今度は雷がきたみたいね」
その光景を見ていたおばちゃんの言葉に
「火に水を注ぐようなこと言わないでくれよ」
マサが抗議するも
「水じゃなくて油でしょ!」
リナ&清香にダブルで突っ込まれてしまった。
皆から笑顔が。
「晴れてきたし帰ろっか」
マサを間に、両脇にリナと清香。
「腹減ったなぁ」
「今食べたとこでしょ」
リナに右腕を引っ張られる。
「なんなら今からご飯デート行きます?」
左腕に絡み付く清香。
「てか、今も二人は頻繁に会ってたの?」
「あぁ、結構会うよな?」
「はい」
マサの呼び掛けに笑顔で応じる清香。
「夕立の時だけに会うみたいなロマンチックな関係じゃなかったのね」
「何言ってるんですか。私はマサさんとずっと一緒ですよ。高校は同じ所に行くつもりですから」
「えっ、うちに来るの?」
「はい、よろしくお願いします。先輩」
「は~・・・とりあえず私帰るわ。じゃあ、ごゆっくり」
マサの手を離すとリナは去って行く。
「おい、どうしたんだよリナ。待てよ」
慌てて追い掛けるマサ。
その手にはいつの間にGETしたのかメンチカツが。
「マサさ~ん、私を置いて行かないで~」
さらにその後を追う清香。
三人の向かう先には綺麗な虹がかかっている。
はたしてこの三角関係?は今後どのようになっていくのか?
そして、マサ個人の肉の三角関係(コロッケ・ハムカツ・メンチカツ)も気になるところですが、それはまた別のお話で。
〈おわり〉
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