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そんなもやもやとした気持ちを抱えながら日々を送っていた時のことだった。 入学式以来時折訪れていた大きな桜の木。今ではもう青みがかった葉にかわっていた。 友達の部活終わりを待つ間、そこで時間をつぶしていた時だった。 先輩と初めて会った瞬間を反芻していた私の後ろから声がした。 「なぁ、何やってんの?」 顔を見なくても声だけでわかる。先輩の声。 パッと振り向いた私の前に手の届かない先輩一人の姿があった。 「もう桜散っちゃったな」 先輩の口からそう発せられた。
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