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まずは、颯太が250センチの好記録をたたき出す。だがその程度なら去年の俺すら超えていない。颯太に負ける心配はなくなったな。
運動しか取り柄のない俺は、スポーツテストの結果はバッチリ記憶しているのだ。
「せーの!」
めいっぱい足を腹に引き付けて跳ぶ。たぶん、俺にはこの跳び方が一番合ってるっぽい。
「呂久村、265!」
「よし!」
これまた人生最高記録! 俺今体力のピークなのかもしんない。
「超えられるかな~、明翔くん~」
「まー見てなって!」
おや、自信満々じゃねーか。
かるーく跳んだように見えるのに、滞空時間が長い気がする。うわ、コレやべーぞ。
「高崎、270ー」
「おー、俺ら全員キリのいい数字だな」
どうでもいい!
くっそー、265なら超えられないと思ったのに!
「残るは、50メートル走と長距離走か……」
予感通り、50メートル走は完敗だった。
俺だって、6.3秒と颯太の6.8秒を大きく上回ったのに、明翔5.9秒て……。
「そうへこむなよー。俺だって腹へこんじゃってんだからさ」
「それで負けたのがなおさら悔しいわ!」
「まあまあ、まだ長距離走があるじゃんー」
「その余裕、お前絶対に自信あるだろ」
かと思いきや、明翔は長距離走はクラストップだった俺どころか背が低い分足が短くて不利そうな颯太にも大きく遅れた。
「なんであんな自信満々だったんだよ!」
「ははっ。俺持久力ねえの忘れてたわ。あー、6時間目終わったし、帰りに何か食おー」
ほんっとに、よく分かんねえヤツだな、明翔は!
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