佐藤颯太をショタ言うなかれ

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佐藤颯太をショタ言うなかれ

 昼休みのチャイムが鳴ると、すぐさまテテッと佐藤颯太がやって来た。 「深月! 一緒にごはん食べようよ!」 「おうよ。ここで?」 「うーん。もっと人気のない所がいいなっ」  俺をどこに連れてって何をする気だ。  連れ立って教室を出る俺たちに、 「かっわいい、あの子」 「佐藤くんでしょー、分かるー」 「超ショタ」  と女子達の視線が注がれる。  へー、さっそく話題を振りまいてますなあ、颯太よ。 「あ、屋上だって。屋上なら人がいないかなっ」 「えー、階段めんどい」 「いいから!」  はいはい、仰せのままに。  まだ4月の初めだってのに、今日は天気がいいから屋上に出ると暑いくらいだ。 「よし、誰もいないかなっ」 「いねーんじゃね。あちーし」 「あちーなマジこれ。やべー、4月でこの暑さとか太陽ぶっ殺してえ」 「お前が死ぬわ」  バカなことを言ってんじゃねえよ。聡明な颯太にしては珍しいが、すぐぶっ殺すとか言いだすあたりは颯太っぽい。 「俺のメロンパン買ってあるんだろーな」 「はいはい。金は寄越せよ」 「あいよ」 「あい、毎度あり」  かわいい顔でデカいメロンパンにかぶりつく様はまさに女子生徒たちが言ってたように幼い少年、ショタだ。 「なあ、ショタって何だ? 教室出る時に俺のことショタだっつってなかったか」 「え? ……知らねえな。正太郎とかじゃねーの」 「正太郎って何だよ。意味分かんねーな、深月」  意味分からん方がお前のためだよ、颯太。
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