俺っ娘美少女? 高崎 明翔

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俺っ娘美少女? 高崎 明翔

 ゴールデンウィークも明けてすぐ、5時間目のホームルームの時間に担任化学教師が白いタンクトップ姿で 「席替えをしまーす! 毎月席替えをするので、みんな周りの人に積極的に話しかけて仲良しクラスを目指しましょうー」  と元気いっぱいに告げた。  げ。毎月席替えとか、超めんどくせ。なんだそのクラス仲良し大作戦は。  高2にもなってそんな友達100人作るんだーって気合い入ってるようなヤツいねーよ。  席替えが終わると同時にチャイムが鳴った。  まだ机運んでるヤツもいるのに、担任は教室を出て行く。マイペースだな、あの教師。  前の席になったヤツがくるっと振り返った。 「……あ!」  一条(いちじょう)(ゆう)――じゃなかった、高崎(たかさき)明翔(あすか)だ!  うわ、まさか一条優のそっくりさんの後ろの席になるなんて。  高崎明翔はニッコリ笑った。うわ、かわいい……さすがは一条優のそっくりさん。顔面の破壊力やべえ。 「ねえ、君、名前なんて言うの? 俺、高崎明翔!」 「俺?! あ、ごめん、呂久村(ろくむら)深月(みづき)」  そっか、スラックス履いてるくらいだから、俺っ娘でも不思議ねえか。 「深月ね。よろしく!」 「え、よろ……よろしく」  え、いきなり深月とか呼び捨てしてくんの? 俺はなんて呼べばいいんだよ? 「ああ、俺のことも明翔でいいよ、深月」  えらい察しがいいらしい。俺の疑問を秒で解消してくれた。 「お……おう、あ……すか」  言いにく! 言いにくいわ! 一条優と同じような顔してる相手に、いきなり明翔とか呼べねえわ! 「なあ、深月」 「え、何? あ……明翔」  聞こえるか聞こえないかくらいの声になっちゃったな。てか、たぶん聞こえてねえ。
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