高崎 明翔との対決イン体育館

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高崎 明翔との対決イン体育館

 今日の体育は、体育館でスポーツテストだ。  自慢じゃないが、俺はスポーツだけは万能である。 「あー、腹減った。こんなんでスポーツテストとかやってらんね」  高崎(たかさき)明翔(あすか)はさっきから腹減ったしか言ってねえ。 「明翔、中学では野球やってたんだろ? 運動得意なの?」 「あ、自己紹介覚えてくれてたんだ!」 「え、あ、うん」  だらけた顔して腹減った腹減った言ってたくせに、急に輝く笑顔で見上げてくるんじゃねえ。ドキッとする。なんで共学校に通いながら男相手にドキッとせにゃならんのだ。 「俺たぶん、超腹減ってても深月に負けねえと思うよ」 「へー、えらい自信だな」 「まーね」  なめくさりやがって、残念ながら俺も得意だっつの。見てやがれ。 「握力測定空いてるぞー。まだのヤツ来いー」  スーツ姿の体育教師が呼んでいる。 「よし、まずは握力で勝負しよーじゃねーか、明翔」 「おうよ!」 「あ、俺も行くー」  佐藤(さとう)颯太(そうた)がテテッと走って来た。 「俺と一緒にやったんじゃヘコんじゃうんじゃね? 泣くなよ、ちびっ子」  あーあー、颯太内心ブチギレとんな、こりゃ。 「泣かないよ! 俺だって運動はできる方だから!」  たしかに、颯太は見た目に反してヤンキー一家でもまれてるだけあって腕力もスピードもある。 「じゃあ、ちびっ子からどうぞー」 「二度とちびっ子言うな! 佐藤颯太だ!」 「よしよし、分かった分かった。颯太くん、ファイト~」 「颯太くんもやめろ!」  知らねえって怖いよな。いくら身長差があったって、颯太のケンカなんか見たら明翔のように女の子みたいなヤツはビビり上がるだろう。
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