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「ねぇ、小学校の時に埋めたタイムカプセル開けに行かない?」
咲南と私は幼稚園からの友達だ。
「今日は私の奢りだから何でも食べて!」
爽やかなモスグリーンのワンピースを着た咲南が何だか幸せを運んでくれる四葉のクローバーに今日は見えてくる。
彼氏と別れたと咲南に電話したら、食事行こう!話聞くからと連れ出してくれた。
「ファミレスで3時間も説教されちゃった。一回り近い年下の男の子に…。普通好きになってから付き合うでしょ?あなたは今まで人を好きになった事あるんですか?だって…。笑うしかないよね。」
「あはは…陽茉莉はさ、自分のペースで恋愛すれば良いよ。本当に好きな人と出会えると良いね。」
咲南はいつも私に優しい。私と違って人生設計がちゃんとしているところも尊敬している。
「陽茉莉さぁ、小学校の時に埋めたタイムカプセルって覚えてる?」
「あーそんな事やってたね私たち。」
ピュアで毎日がキラキラしかしていなかったあの頃を思い出して私は笑顔になった。
「あれ埋めてからさ、ちょうど20年経つから開けに行ってみない?」
咲南にそう言われ、20年っていうキリの良さも何だかタイミングが良い感じがして私は了解した。
私たちは小学校の入口にある事務員室でOGとして記帳をしてタイムカプセルの埋めてある校庭に向かった。
「あ、あったあったよ陽茉莉!」
昔から地理が得意だった咲南は場所を覚えるのも得意で、タイムカプセルを埋めた場所も今だに覚えていたことに私は関心した。
「はい、陽茉莉」
咲南から受け取ったタイムカプセルは、小学校の時に流行っていたカプセルトイの容器を桃色のビニールテープで留めているものだった。
「何これ…。」
タイムカプセルを開けて手紙を読んだ私は涙が止まらなかった。
ーこれを開けている時の私へ。大好きな人と一緒に居ますようにー
まっすぐで透明でキラキラしているあの頃の私からのメッセージは最高に眩しかった。
「咲南、私恋愛頑張るね。」
「…うん。頑張れ」
私は私の夢を叶えてあげよう。
タイムカプセルに夢を詰め込んでいたあの頃の私のために。
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