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想の部屋で、慣れないラインの設定などを教わりながらの作業途中だった結葉は、美鳥からの着信に飛び上がるほど驚かされる。
不安に駆られた目で想を見詰めたら、「大丈夫だ」と励ますように小さく頷いてくれて。
気を遣ってくれたのか、そのまま自室を出て行こうとする。
結葉はそんな想の服の裾をギュッと握って引き留めると、そのままここにいて欲しいと意思表示してから、緊張に震える手で応答ボタンをタップした。
母親と話すだけなのに、一人にされるのが、何だか凄く不安だったのだ。
「――もしもし?」
恐る恐る音声通話を受けたと同時、美鳥が『ゆいちゃん、……何かあった?』と何の前置きもなしに単刀直入に切り込んでくる。
「えっ、あ、あのっ――」
きっと、いきなり電話番号が変わって。その上その連絡を偉央ではなく想がしてきたことが美鳥を不安にさせたのだろう。
そんな美鳥の懸念は間違いなく正しくて――。
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