17.出しっぱなしのカップ

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 (そう)が慌てて今にも倒れてしまいそうな結葉(ゆいは)へ手を伸ばそうとしたのを、偉央(いお)がごくごく自然に割り込んで制すると、結葉(ゆいは)の腰を抱くようにして支える。  そうして(そう)をひたと見据えた。 「――失敬。どうやらが途中で体調を崩してしまったようですね?」  声こそ穏やかだけれど、偉央(いお)からはこれ以上結葉(ゆいは)に近付くなというオーラが出ていて。  (そう)は思わず後ずさる。 (そりゃそうか。目の前で自分の女、他の男に触られそうになったら腹立つよな)  実際(そう)は今、すぐ目の前で自分に近い存在だと思っている結葉(ゆいは)偉央(いお)に掻っ攫われていい気がしなかった。  それに、もっと言えば過去にも同じように偉央(いお)のことを憎々しく思ったことがあるのを、鮮明に覚えている。  それでも、自分の気持ちはさておき結葉(ゆいは)さえ幸せならばそれでいいとも思ってきた。  だが、幸せになったと信じていたはずの結葉(ゆいは)と久々に再会してみれば、何かが噛み合わないような違和感を覚えるのは気のせいだろうか。
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