27.芹だって馬鹿じゃない

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 あとは本体自体が小さめで、片手で持つのにも適しているというのが、手の小さな自分には向いている気がしたのだ。  画面が大きい方が見やすいのかもしれないけれど、持ちにくいのは好きじゃない。  色は白、黒、青から選べたのだけれど、一番無難そうな白にしておいた。 「ピンクとかあったら結葉(ゆいは)ちゃん!って感じがしたのにね」  (せり)は残念そうにつぶやいたけれど、結葉(ゆいは)は正直何色でも良かった。 (私、また自分のスマホが持てるんだ)  もうそれだけで、ワクワクしてしまう。  (せり)の説明だと、Wi-Fi下にいれば、通信費もほとんどかからないらしい。 「好きな映画やドラマやアニメなんかの動画を観ても平気だからね」  言われて、ずっとそう言うのからも離れていた結葉(ゆいは)は嬉しくて仕方がない。 「あ! そう言えばお兄ちゃんの契約だからうちの家族とは通話料無料だから。お兄ちゃんやあたしとはライン使わなくても話し放題だよっ?」  (せり)にニッと笑いかけられて、結葉(ゆいは)は何だか山波家(やまなみけ)の一員にしてもらえたような気持ちになって、くすぐったくなる。  それと同時、自分の契約ではないから、無駄使いしないようにしないと、って気持ちを引き締めた。
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