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「ほい、コレ、な?」
帰宅するなり想から白い小箱を差し出されて、「今日、モールにいるときに気づけば一緒に選べたのにごめんな」と頭を下げられた結葉は慌てて首を振る。
「私みたいな人間が、みんなと同じように〝普通の〟携帯が持てる日が来るだけで夢のようだよ。ありがとう、想ちゃん、芹ちゃん」
何気なく言ったら、想と芹に睨まれてしまった。
「私みたいな人間、って何だよ?」
驚いたことに、結葉の方へぱっと身を乗り出してきた芹よりも先に口を開いたのは、不動のまま結葉を見据えた想だった。
「え……?」
無意識に口から出た言葉だったから、改めてそんな風に言われると驚いてしまった結葉だ。
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