746人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前は俺たちと何ら変わらない存在だ。そういう言い方して自分を貶めるのはやめろ。聞いてて悲しくなる」
想に低い声で諭されて、結葉は「ごめんなさい」と素直に謝った。
芹も、想の横で「うんうん」とうなずいている。
ずっと抑圧された生活をしていたから、卑屈の虫に身体の隅々まで蝕まれてしまっているのだろうか。
結葉は二人から指摘されるまで自分がそんな考えに囚われていることにすら気付けていなくて、小さく吐息を落とした。
一朝一夕にはその考え方は改められないかもしれない。
けれど、想や芹を悲しませるのならば、やめないといけない。
そう思って。
「あたしもお兄ちゃんも結葉ちゃんのこと、すごく大切に思ってるからね? それを忘れないで?」
芹にギュッと手を握られて、結葉はコクッとうなずいた。
最初のコメントを投稿しよう!