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「さぁ暗い話はここまでっ。それ、開けてみよ?」
芹にうながされて、結葉は想から手渡された小箱を開けてみる。
白い箱の中、白くて薄っぺらい小さなスマートフォンが、ゴトゴトと動かないようにぴっちりした枠に嵌められて鎮座ましましていた。
結葉にとっては、本当に久しぶりのキッズ用以外の携帯電話だ。
「充電、ほとんどされてねぇんだわ。とりあえずこれ、そこに繋いで充電しといて、飯食おうぜ」
壁の一角にあるコンセントを想に指さされて、結葉はコクッとうなずいた。
想から「俺のと共通だから」と渡された高速充電器に機種を繋いでふとリビングのローテーブルの上を見ると、結局全部飲み干せないままに置き去りになっていた冷えた紅茶が目について。
結葉がカップを手に取って中身を飲み干したら、芹も「もったいないもんね」と言いながら自分のを一気にお腹に流し込む。
「マグはコレ洗って使おっか?」
芹に言われて、結葉は「うん」と微笑んだ。
それを横目に見ながら、想が「飲みもんは熱い茶でいいよな?」と聞いてきて。
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