27.芹だって馬鹿じゃない

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 「戸棚ん中に玄米茶があるんだ」と言われた結葉(ゆいは)は、胸の奥がチクンと(うず)いた。 (偉央(いお)さん、ちゃんとご飯食べたかな)  玄米茶は、夫が好きなお茶だったから。  結葉(ゆいは)はどうしても偉央(いお)のことを思い出してしまう。  あんなに彼の元から逃げ出したいと思ったのに、ふとした時に偉央(いお)を思い出しては気にしてしまうのは、ああいう日々の中でも、確かに自分は偉央(いお)から愛されていたと思えるシーンが一つや二つではなく、思い浮かぶからだろう。  テーブルの上に熱いお茶がこぼれたとき、偉央(いお)は咄嗟に結葉(ゆいは)を庇ってくれた。  あのとき彼が負った火傷は、しばらくの間偉央(いお)の腕に残っていた。
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