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小学三生の頃、近所の川に小一の芹と二人、スカートの裾をまくり上げて入っていたら想にオロオロされまくったのを思い出した結葉だ。
小魚を狙って芹と二人網を川に沈めるたび、
『そこ、ヌルヌルしてるから気を付けろ!』
そう言って最上級生の想が二人の後をくっ付いて右往左往して。
余りにバチャバチャ歩き回るものだから、芹に『お兄ちゃん邪魔! お魚逃げちゃう!』と叱られて。
『すまん』と謝りながらも結局すぐまた同じことを繰り返す。
そうこうしていたら自分達を気遣っていた想が、真っ先に転んでびしょ濡れになってしまった。
芹と二人で大笑いしていたら、結局自分達も滑りやすいコケに足を取られて転んでびしょ濡れになって。
三人で水を滴らせながら家路を急いだのを思い出す。
あれは、まだ水浴びするには早い五月の中旬だった。
あのあと、結局身体を冷やしてしまったのがいけなかったのか、結葉は風邪をひいてしばらくの間、学校を休む羽目になって。
想が、申し訳なさそうな顔をして、何度も何度もお見舞いに来てくれたのを覚えている。
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