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「私に必要なものなら想ちゃんにも要ると思う……」
怯えた目をして言いたいことの半分も言えなかったんじゃないかという雰囲気だった結葉を思えば、いまこうやって想に物申してくるのは喜ばしいことだ。
そう思いはするのだけれど。
「おっ、俺はいいんだよ」
正論を突きつけられた想は、若干しどろもどろになってしまう。
「何で?」
なのに結葉は引き下がるつもりはないみたいだ。
想は一瞬グッと言葉に詰まって、それでも何とか言い返す。
「お、俺は男だから」
寝心地の良し悪しに男も女もないのは百も承知だ。
だが、結葉と自分の明確な違いはそれぐらいしか思い付けなかった想だ。
苦し紛れに言った言葉だったけれど、結葉が黙ってくれてホッとする。
「な? そう言うことだからお前は上で俺は下、な? そこはもう決定事項だからこれ以上ガタガタ言うな? いいな?」
――でないとここには置いてやれねぇぞ?
思わずそう続けそうになって、想は慌てて口をつぐんだ。
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