28.初めての夜

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「私に必要なものなら(そう)ちゃんにも要ると思う……」  (おび)えた目をして言いたいことの半分も言えなかったんじゃないかという雰囲気だった結葉(ゆいは)を思えば、いまこうやって(そう)に物申してくるのは喜ばしいことだ。  そう思いはするのだけれど。 「おっ、俺はいいんだよ」  正論を突きつけられた(そう)は、若干しどろもどろになってしまう。 「何で?」  なのに結葉(ゆいは)は引き下がるつもりはないみたいだ。  (そう)は一瞬グッと言葉に詰まって、それでも何とか言い返す。 「お、俺は男だから」  寝心地の良し悪しに男も女もないのは百も承知だ。  だが、結葉(ゆいは)と自分の明確な違いはそれぐらいしか思い付けなかった(そう)だ。  苦し紛れに言った言葉だったけれど、結葉(ゆいは)が黙ってくれてホッとする。 「な? そう言うことだからお前は上で俺は下、な? そこはもう決定事項だからこれ以上ガタガタ言うな? いいな?」  ――でないとここには置いてやれねぇぞ?  思わずそう続けそうになって、(そう)は慌てて口をつぐんだ。
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