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「けど。とりあえずその前に風呂だな、風呂」
想が気持ちを切り替えるように言って、「結葉、先に入ってこいよ。俺、その間に寝床整えとくから」とうながしてくる。
今日買った荷物の中には結葉用のシャンプーやコンディショナー、それから洗顔料の他に、パジャマも二着ほどあって。
結葉はコクッとうなずくと、部屋の片隅に袋詰めしたまま置いてある荷物を解きに向かった。
「あ、そう言えば結葉の服が整理できるようなもんも買って来とかねぇといけねぇな」
いつまでも袋の中から出し入れでは不便だ。
「ホント、俺って後手後手だよな。すまん」
はぁっと吐息を落としながら謝る想に、結葉はフルフルと首を横に振る。
生活に必要なものを一気に買うだなんて土台無理な話なのだから、あ、あれも要る、となったものはその都度少しずつ集めていけばいい。
「そんなことない。私、想ちゃんがいてくれなかったらきっと、路頭に迷ってたもん」
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