28.初めての夜

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 雪日(ゆきはる)の住環境改善のために、(そう)が衣装ケースで作ってくれたケージ。  そのついでに買い揃えてくれた、ハムスター用のフードや床材やおもちゃ。  (そう)がショッピングモールに連れて行ってくれたから、アレコレ揃えられた服や食器類や化粧品、それから細々とした日用品。  追加で買いに行ってくれた寝具一式。  (せり)(そう)に言ってくれて、夕飯前に手渡されたばかりの新しいスマートフォン。  今日一日で、(そう)結葉(ゆいは)のために一体どれだけお金を使ったんだろう。  どう考えたって、申し訳ないと感じなくちゃいけないのはこっちなのに、と思ってしまった結葉(ゆいは)だ。  (そう)は前貸しみたいなものだから気にしなくていいと言ってくれたけれど、気になるものは気になるのだから仕方がない。  だけど、それを口にすれば、(そう)が困った顔をして「そう言うことはもう言うな」って不機嫌になるのも分かっていたから。  だから結葉(ゆいは)はそこに関してはもう言及すまい、と心に決めている。  そもそもどんなに引け目に感じたところで、自力でどうにも出来ない以上、現状、結葉(ゆいは)(そう)に頼るしかないのだから。 (なるべく早くお仕事見つけなきゃ)  でも、そのためには偉央(いお)とのことを何とかしなくては話にならない。  結局はそこに戻ってきてしまうことを少しもどかしく思ってしまった結葉(ゆいは)だ。
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