742人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「あ、あのね。想ちゃん。迷惑ついでにもうひとつお願いしてもいい?」
パジャマを探してゴソゴソしていたら、袋の中から今日モールの試着室で今着ている服に着替える前に着ていた、コンシェルジュの制服が出てきた。
それを手に取りながら結葉が想を見つめて。
「ん?」
想がこっちを向いてくれたから、結葉は制服を見せながら「これ、クリーニングに出してきて欲しいの」と恐る恐る言ってみた。
想は「お安い御用だ」とニッと笑ってくれて。
「朝イチで出しといたら帰りには取りに行けると思う」
と付け加えてくれる。
「いいの?」
一日のうちにあちこち寄ってもらうのを心苦しく感じてしまった結葉だ。
おずおずと問いかけたら、想は「職場までの通り道にあるから問題ねぇよ」と言ってくれて。
そこでハッと気づいたみたいに「俺が仕事行ってる間……」と言葉に詰まる。
想は咄嗟に言葉を濁してくれたけれど、結葉は想が言わんとするところがすぐに分かった。
と言うより、自分自身そこをどう乗り越えようと心の片隅で思っていたから。
最初のコメントを投稿しよう!