28.初めての夜

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***  (そう)結葉(ゆいは)に衝撃の告白をしていた丁度その頃――。  タワーマンションの一室で、偉央(いお)は一人、まんじりともせず暗闇に溶け込むように静寂をまとって座っていた。  偉央(いお)にとっては結葉(ゆいは)がこの家を出て行って初めての夜だ。  偉央(いお)は冷蔵庫のモーター音と、自分の吐息ぐらいしか聴こえてこないひっそりと静まり返った部屋の中、電気も付けずにスツールに腰掛けていた。  昼休みに帰宅した時、結葉(ゆいは)が部屋からいなくなっていることに気が付いて、山波(やまなみ)(そう)と話して。  電話口、(そう)から明確に結葉(ゆいは)(かくま)っていると聞かされたわけではなかった偉央(いお)だったけれど、相手の口ぶりから結葉(ゆいは)(そう)を頼っていることは明白だと思った。  それと同時、(そう)が、結葉(ゆいは)が家出をするに至った経緯(いきさつ)――偉央(いお)結葉(ゆいは)にした非人道的な数々の仕打ち――を知っていることも確信したのだ。  だからこそ、偉央(いお)は意を決して(そう)に言ったのだ。 『――でしたら話は早い』  と。
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