28.初めての夜

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 あのまま結葉(ゆいは)と共にいたら、自分は恐らく結葉(ゆいは)(あや)めてしまっていた。  偉央(いお)は、愛する結葉(ゆいは)を傷付けたいわけでも――ましてや殺したいわけでもない。  ただ、健やかに自分のそばで笑っていて欲しかったのだ。  だけど結葉(ゆいは)を殺してしまう以外に、自分が安心できる(すべ)はないとも思う自分がいて。  気が付くと、いつも結葉(ゆいは)に酷いことをして怯えさせ、身体的にも肉体的にも苦痛を強いてしまっていた。  ふと冷静になったとき、偉央(いお)はいつも後悔の念に駆られるのと同時、今のままではダメだという焦燥感に(さいな)まれ続けていた。  自分の中の〝魔〟から結葉(ゆいは)を守るには、結葉(ゆいは)を、自分の手が届かないところに逃すしかない。  分かっているのに、偉央(いお)はずっとそれが出来ないでいた。 (結葉(ゆいは)、僕をひとりにしないで?)  と思う自分と、 (結葉(ゆいは)、僕のそばから一刻も早く逃げて!)  と、真逆なことを願う自分とが、心の中でずっとせめぎ合っていた。
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