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小刻みに震える手をギュッと力を込めて押さえ込もうとする。
「近いうちにな、うちの会社の方にお前の旦那から……その……あ、あるものが届くことになってんだ。それと一緒に小切手送るって言ってた……から」
想が、自分の反応をうかがいながらひとつひとつ言葉を慎重に選んでいるのが分かった結葉だ。
偉央から送り付けられてくるものを拒否することは出来ないと言外に含ませた想に、小切手はともかく、〝あるもの〟は受け取り拒否してはいけないものなのかな?と結葉は思って。
「ねぇ想ちゃん。あるものって……何? 偉央さんから何が届く予定なの?」
結果、あるもの、と濁された部分が結葉には逆に凄く気になってしまった。
想が自分を気遣ってくれて、わざわざそこを伏せようとしてくれたのは重々承知している。
その上で。
それでもやっぱり自分のことだから。
結葉はそこをちゃんと聞かないといけない、と思ったのだ。
「……ん……け……」
ボソッとつぶやかれた言葉がうまく聞き取れなくて、結葉は想の手にそっと触れる。
「想ちゃん。私、大丈夫だから。……お願い。ハッキリ言って?」
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