28.初めての夜

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*** 「ごめんね、(そう)ちゃ。遅く……なっちゃった」  結葉(ゆいは)(そう)の腕の中で静かに静かに泣き続けて……。  一時間経つか経たないかの頃、やっと泣くのをやめて、そうつぶやいた。  涙に泣き濡れた顔を隠すこともせず真っ直ぐ(そう)を見上げると、 「一杯泣いたら少しスッキリした。――(そう)ちゃん、黙って泣かせてくれて有難う。ずっと胸を貸してくれて有難う」  言って、今度こそ心の底からの笑顔を(そう)に向けてくれる。 「こんな胸で良ければいつでも」  照れ隠し。  (そう)はちょっとだけ結葉(ゆいは)から視線をそらせるようにして、わざと軽口を叩いて見せる。 「うん」  結葉(ゆいは)(そう)に短く一言そう返すと、 「お風呂っ! 今度こそちゃんと入ってくるね」  まるで気持ちを切り替えるみたいに明るい声音でそう言って立ち上がる。
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