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「絶対私、いまお化粧崩れちゃってるよね。やーん。恥ずかし〜」
悪戯っぽく微笑んで見せる結葉が、想にはとても意地らしく思えた。
きっと結葉は風呂の中でまだもう少し泣くんだろうな。
そんなことを思いながら、
「ゆっくり温もって来い」
殊更〝ゆっくり〟のところに感情を込めた。
時間なんて気にしなくていいから。
気が済むまで泣けばいい。
明日から現実にしっかり向き合っていけるように。
結葉の涙で濡れたズボンをぼんやり眺めながら、想は〝風呂上がりにはしっかり水分補給させてやんねぇとな〟と思った。
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