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「じゃ、電気消すぞ?」
結局結葉の風呂上がりを待って、そのあと想が入浴を済ませたら深夜を回っていて。
「ごめんね、想ちゃん。明日はお仕事なのに」
想が部屋の入り口壁にあるシーリングライトのスイッチに手を伸ばして声を掛けたら、結葉が布団の中に顔を半分隠して申し訳なさそうに謝ってきた。
「バーカ。俺はいつも結構夜更かしなんだよ。今日だっていつも通りだから気にすんな」
言って、今度こそ照明を落とそうとして、ふとあることに思い至った想だ。
「結葉、お前、真っ暗でも眠れるようになったか?」
子供の頃は電気を全部消すと怖がる結葉のために、彼女が泊まりに来た時だけは豆球をつけて薄明かりにしていたのを思い出した。
「えっとね。実は……今でも真っ暗闇で眠るのは苦手、なの。あっ、でもっ。結婚してからはずっと真っ暗な中で眠ってたし……絶対眠れないってわけではないから……その、だ、大丈夫……だよっ? 想ちゃんが暗い方が眠れるっていうなら私、そっちに合わせるよ?」
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