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私のことは気にしないで?とソワソワした様子で続ける結葉に、想は「俺はどっちでも寝れっから気にすんな」と声をかける。
今の口ぶりだと、結葉は旦那に合わせて真っ暗な中で眠る努力をしていたということだろうか、と思いながら。
スイッチを複数回押して常夜灯の仄赤い光を残すと、薄明かりの中を移動して結葉のベッド横に敷いた自分の布団に潜り込んだ。
(やべぇ。無茶苦茶緊張してきたっ)
すぐ近くに結葉がいると思うと、目が冴えてなかなか眠れそうにない。
子供の頃は結構頻繁にお互いの家を行き来して、一緒に寝泊まりすることが多かった想と結葉だけど、いつもは妹の芹も一緒で。
しかも物心ついてからは何となくそういうことはしなくなっていたから。
静かにしているとお互いの吐息と壁掛け時計の秒針の音、それからキッチンの方から微かに聞こえる冷蔵庫のモーター音がやけに大きく聞こえてきて、こんなにこの部屋って色んな音してたんだな、と想は今更のように気付かされる。
下手したら自分の鼓動の音が結葉に聞こえてしまうんじゃないかと内心ドキドキの想だ。
だけど、〝鎮まれ、鎮まれ〟と意識すればするほど、心臓がうるさく騒ぎ立てる悪循環で。
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