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「ねぇ、想ちゃん。もう……寝ちゃった?」
だから結葉にポソポソとささやくような声音で話しかけられたとき、心臓が口から飛び出てしまいそうなくらいびっくりしてしまった想だ。
さすがに表には出さないように頑張ったつもりだけれど、「いいや」と応えた声が、自分でもやけに上ずっているように感じられて。
(結葉は俺の今の声、変に思っていないだろうか)
そんなことを思いつつ、
「久々にお前と寝てるからかな。興奮してなかなか寝付けねぇわ」
努めて平常心を心掛けてそんなことを言ってみる。
「わぁ〜。想ちゃんも? 実は私も……なの」
結葉がゴソゴソと動く衣擦れの音がして。
彼女が寝返りを打って、自分の方を向いた気配を感じた。
想は自分だけが結葉に背を向けているのもおかしい気がして、一度だけ心の中でスーハースーハーと大きく深呼吸をすると、そそくさと結葉の方へ向き直る。
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