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風呂上がり、泣いた影響だろう。
ほんの少し鼻が赤くなっていて、目元を泣き腫らしてトロンとさせた結葉が、上気した肌にそのパジャマを纏って出てきた姿はなかなかにパンチ力があって。
自分とは違うフローラル系のシャンプーの甘い香りがふんわりと漂うのに加えて、艶やかな黒髪が少し湿り気を帯びているように見える結葉は、思わず想が息を呑んでしまうぐらい色っぽかった。
結葉が風呂から上がったら飲ませようと準備していたキンキンに冷えたミネラルウォーターを、思わずコップに溢れるくらいなみなみと注いでしまって、慌ててこっそり流しに捨てた想だ。
「……これ、水分補給な」
言ってグラスを手渡すとき、コップを持つ手が震えそうになって困ったのを思い出す。
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