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その結葉が、すぐそばに寝そべっているのだと思うと、意識するなという方が無理な話なんじゃないかと、想は半ば諦めるように小さく吐息を落とした。
「あのね、少しおしゃべりしない?」
眠れないから話をしようと結葉が誘ってくる。
それは幼い頃にもよくやった光景だ。
違うのは、結葉のことを意識している想の心の中だろうか。
「おう」
その緊張を隠すように短く応じたら、結葉が小さく溜め息を落とした。
「想ちゃん、芹ちゃんがいないからかな。何だか私、すっごく緊張してる。変……かな」
想は一瞬、自分の心のうちを見透かされてしまったのかとドキッとして。
でも主語が「結葉」だったことに気付いてハッとする。
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