29.公宣からの提案

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 結局あの後あれこれ話している間にいつの間にか眠ってしまっていた二人だ。  とは言え、結構な夜更かしをしてしまったことに変わりはない。  結葉(ゆいは)は眠い目をこすりながらまだ眠っている(そう)の横をそぉーっとすり抜けるようにして寝室を出た。 ((そう)ちゃん、寝顔変わってないなぁ)  ほんの少し半目になっていると言ったら、(そう)は気にするだろうか。  そんなことを思いながら少しまくれていた(そう)の布団を綺麗にかけ直す。 (冷蔵庫、何があるかな)  食材を一緒に買いに行ったわけじゃないから、この家の冷蔵庫事情が分からない結葉(ゆいは)だ。  そもそも昨夕も結局(そう)が寿司を買ってきてくれたから、何も作ったりしなかった。 (お世話になってるんだし、ご飯ぐらいは)  結葉(ゆいは)はそう思って台所に向かったのだけれど。 (わ〜。見事に材料がほとんどないっ)  あるのは牛乳と卵が二個、それからウィンナーが一袋。  フードストッカーに芽の出かけたじゃがいもが三個。  米櫃(こめびつ)を開けてみたら、お米も空っぽで。
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