29.公宣からの提案

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 洗ったばかりのお皿に、フライパンの中のソーセージハッシュを移すと、軽く汚れを落として油を敷き直す。  そうしてシンプルに目玉焼きを二つ作ると、さっき器に移したばかりのハッシュの上にポンと載せた。  (そう)は子供の頃、固焼きの目玉焼きが好きだったけれど、今でもそれは変わっていないかな?などと思いつつ。  時計を見るともう少しで六時。 ((そう)ちゃん、何時に起きるのかな?)  ソワソワと時計と寝室とを見比べていたら、(そう)のスマホがアラームを鳴らす音が聞こえてきて。  シンプルなピピッピピッという音なのが、(そう)らしいなぁと思った結葉(ゆいは)だ。  トースターにセットしておいた食パンを、適当にダイヤルを三分あたりまで回して焼き始めて。  その流れで水を入れ替えておいたヤカンを火に掛けた。  寝起きでいつもより声が低めな(そう)が、目をこすりながら「結葉(ゆいは)ぁ。もう起きてたのか? ……おはよぉ」とあくび混じりに朝の挨拶をしてきて。  結葉(ゆいは)もそんな(そう)に笑顔で「おはよう」と返す。
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