29.公宣からの提案

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「めちゃくちゃ美味(うま)そうな匂いしてんだけど……朝食作ってくれたの? 結葉(ゆいは)、無理してねぇか? ちゃんと寝れたか?」  (そう)は心配そうに眉根を寄せながら台所に立つ結葉(ゆいは)のそばにくると、結葉(ゆいは)の頭越し、キッチンに置いた皿の中を覗き込んだ。 「わー、何これ。すげぇ!」  何だかよく分からないけど、そう思ってくれたらしい。 「ごめんね。冷蔵庫の中のもの、勝手に使っちゃった」  結葉(ゆいは)が申し訳なさそうに言ったら、「全然構わねぇよ。っていうか、結葉(ゆいは)。お前マジすげぇな」って。 「(そう)ちゃん、さっきから〝すげぇ〟しか言ってないね」  結葉(ゆいは)がクスクス笑ったら、(そう)が鼻の頭を掻きながら照れ臭そうに「いや、だって……ホントすげぇから」とつぶやく。  結葉(ゆいは)は寝起きでまだ少しぽやっとしている(そう)に、「褒めてくれて有難う」と素直にお礼を言うことにした。
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