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そこで、トースターのチンという音がして。
まるでそのタイミングに合わせたみたいに火にかけたヤカンがシュンシュン鳴って、お湯が沸いた旨を伝えてくる。
結葉が火を止めながらトースターをチラリと見て、「あ。パン皿」とつぶやいたら、想がすぐさま百均の買い物袋の中から皿の包みを解いてくれて、何も言わずに洗ってくれる。
「想ちゃん、有難う」
結葉が思わず言ったら、「俺も食うんだ。作ってもらった恩義もあるし、礼には及ばねぇよ」とニヤリと笑って。
パン皿を洗い終えた想が、スッと手を伸ばしてシンク横上方のタオル掛けから白い布巾を手にしたのを見て、結葉は(あれが食器拭き用の……)と思った。
結葉は、想が皿にトーストを載せてくれるのを横目に見ながら、昨夜芹が仕舞ってくれた小鳥柄のマグカップを二つ、棚から手に取る。
そのついでに、玄米茶が入っていたストッカーから紅茶の入った容器を取り出した。
そこでふとストッカーの上に置かれたコーヒーメーカーに気が付いて。
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