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「ね、想ちゃん、紅茶で平気?」
恐る恐る聞いたら「ん。俺は何でもいいぞ」と柔らかな声が返ってくる。
想のその応えに、〝でも〟と思った結葉だ。
「想ちゃん、珈琲の方が好きなら私、そっちでも全然問題ないよ?」
もちろん紅茶は大好きだけど、考えてみたら昨日からずっと結葉の好みに合わせてもらっている気がして。
コーヒーメーカーが比較的使いやすいところに置いてあるということは、想は珈琲派なんじゃないかと思ってしまった。
「あー、じゃあさ。次淹れるのは珈琲にしようぜ。――とりあえず今回は紅茶で」
きっと、結葉がお湯を沸かして、紅茶の容器を手にしていたから、想は気を遣ってくれたんだろうな、と思ってしまった結葉だ。
「想ちゃん、いつもごめんね」
思わずしゅん……として謝罪した結葉に、「何で謝んだよ?」と想が不機嫌な顔をする。
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