29.公宣からの提案

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「ね、(そう)ちゃん、紅茶で平気?」  恐る恐る聞いたら「ん。俺は何でもいいぞ」と柔らかな声が返ってくる。  (そう)のその応えに、〝でも〟と思った結葉(ゆいは)だ。 「(そう)ちゃん、珈琲の方が好きなら私、そっちでも全然問題ないよ?」  もちろん紅茶は大好きだけど、考えてみたら昨日からずっと結葉(ゆいは)の好みに合わせてもらっている気がして。  コーヒーメーカーが比較的使いやすいところに置いてあるということは、(そう)は珈琲派なんじゃないかと思ってしまった。 「あー、じゃあさ。次淹れるのは珈琲にしようぜ。――とりあえず今回は紅茶で」  きっと、結葉(ゆいは)がお湯を沸かして、紅茶の容器を手にしていたから、(そう)は気を遣ってくれたんだろうな、と思ってしまった結葉(ゆいは)だ。 「(そう)ちゃん、いつもごめんね」  思わずしゅん……として謝罪した結葉(ゆいは)に、「何で謝んだよ?」と(そう)が不機嫌な顔をする。
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