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想が「でも、何?」と落ち着かない様子で眉根を寄せるから、結葉は慌てて手を振った。
「あ、あのっ。不安とかじゃないの。ただ、その……まださすがに一人ではお出かけする気にはなれないから……想ちゃんのお仕事が終わったら一緒に食材を買いに行けたらなって思って。何時くらいになりそうかなって」
材料がほぼ尽きてしまっている現状では、夕飯を作りたくても作れない。
それに、米すらないのはやっぱり不便だ。
「ああ、何もねぇもんな、うち」
そこでハッとしたように結葉を見つめると、想が「昼飯……」とつぶやいて呆然とする。
「あ。お昼! ごめんね。材料があったら想ちゃんにお弁当作りたかったんだけど」
その予定も総崩れしてしまう有様だった。
結葉がしゅんとしたら想が「いや、俺のじゃなくてお前の」と心底申し訳なさそうな顔をする。
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