29.公宣からの提案

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「俺、昼に戻ってくるから。それまで待てるか?」  聞かれて結葉(ゆいは)はキョトンとする。 「(そう)ちゃん、まだ食パンが一枚余ってるし、私のお昼は何とかなるよ?」  言ったら「馬鹿(ばっ)! そんなんじゃ栄養偏るだろ!」って。 (それ、店屋物(てんやもの)ばかり食べてる(そう)ちゃんが言う?)  と思ってしまった結葉(ゆいは)だ。 「一食ぐらい平気よ?」  「毎食ちゃんと食べていなかった(そう)ちゃんの方がよっぽど心配なのに」という言葉を飲み込んで結葉(ゆいは)が言ったら「ダメだ」と(そう)はにべもない。 「とにかく! 昼に一回戻ってくるからそのつもりでいろよ?」  そこでパッと壁の時計を見て、慌てたように 「行ってくる! 鍵、ちゃんと閉めとけよ⁉︎」  今度こそ慌ただしく(そう)が出て行った。  ここは二階なので(そう)が数段飛ばしで階段を降りているのであろうバタバタ言う音が聞こえてきて。  結葉(ゆいは)は内心 ((そう)ちゃん、落ちないでねっ?)  とソワソワした。
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