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「結葉ちゃん、ごめんね。わざわざ来てもらって」
山波建設の会議室で、結葉は想と二人、ここの社長であり想と芹の実父でもある山波公宣と対面していた。
結葉の右隣に想、長机を挟んで真向かいに公宣という席順だ。
さっき事務員さんがやって来て、三人分のコーヒーを出してくれた。
公宣に勧められて結葉は自分の前に置かれたカップにミルクを落とす。
(……苦そう)
ソワソワとそんなことを思っていたら、想が無言で自分のものに付いていたコーヒーフレッシュを差し出してくれて。
結葉は小声で「有難う」と言いながらそれを受け取って、代わりに自分の皿からスティックシュガーを取って想に渡した。
それを見ていた公宣が、「これもどうぞ」と自分の皿の上のものを、二人の前に置いてくれる。
「あ、有難うございます」
(他所様の会社の会議室で私たち、一体何をしているのかしら)
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