29.公宣からの提案

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 目の前に置かれたそれらに手を伸ばしながら、ふとそんなことを思ってしまった結葉(ゆいは)だ。  コーヒーフレッシュを自分に、スティックシュガーを(そう)に渡したら、(そう)が「サンキュー」と言って三つ目の砂糖をコーヒーに混ぜ込む。 ((そう)ちゃん、それ、甘すぎない?)  いつもなら(そう)はスティックシュガーは二本だけだったはずだ。  三本はさすがに、と思った結葉(ゆいは)だったけれど、(そう)は一向に気にした様子はない。  もしかしたら案外三本入れちゃうなんて日も、結構あるのかも知れない。  そんなことを思いながら、結葉(ゆいは)も三つ目のポーションを自分のカップに落とした。  皿に置かれていたティースプーンでぐるぐるとかき混ぜたら、そこそこに白っぽいコーヒーが出来上がる。 (これなら何とか飲める、かな……)  でも、いつもコーヒー〝二〟に対して牛乳〝八〟で作っているカフェオレよりははるかに苦そうで。  密かに牛乳が恋しいな、なんて思ってしまった結葉(ゆいは)だ。
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