738人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「今日来てもらったのはね、想が結葉ちゃんと同じ部屋で寝泊まりしていると聞いたからなんだ」
公宣の言葉に結葉はギュッとカップの持ち手を握りしめる。
公宣が口にした言葉は、手にしたカップの中のコーヒーなんか比べ物にならないくらい苦い内容だった。
「だから! それはちゃんと理由言っただろ? 結葉が一人じゃ不安だからだって」
想がそんな結葉を庇うみたいに言い募って。
結葉は何だか申し訳ない気持ちになる。
「すみません。私のせいでご迷惑をお掛けして……」
結葉の言葉に想が「結葉!」と咎めるような声で呼びかけて、即座に眼前の父親を睨みつけた。
「親父が余計なこと言うから結葉が気にしちまっただろ!」
想の言葉に、公宣は小さく吐息を落とす。
最初のコメントを投稿しよう!