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「想。少し冷静になりなさい。父さんだって結葉ちゃんは可愛いし守ってあげたいと思っているよ。でもね、――だからこそ、だ」
公宣の言葉に結葉は俯けていた顔を上げた。
「あの……それはどう言う」
問いかけたら、公宣が結葉に優しくニコッと微笑みかける。
「結葉ちゃん、まだご主人との離婚は成立していないんだよね?」
「……はい」
その通りだったので小さく頷いたら、公宣が想をチラリと見遣ってから、すぐさま結葉に視線を戻す。
「うちの想と結葉ちゃん、それからうちの芹が幼い頃から仲良しなのは私も知っているよ? 小さい頃はお互いの家をよく行き来してお泊まり会もしてたよね?」
「はい」
コクッと頷く結葉を、公宣が愛おしそうに見つめて。
「でも――、今はもうみんないい大人だ。違うかい?」
諭すような口調で言われて、結葉はギュッとカップを握りしめた。
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