29.公宣からの提案

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「少なくとも結葉(ゆいは)ちゃんの婚姻生活に何らかの形でハッキリと白黒がつくまでは、若い男女が二人きりで生活するなんてこと、しない方がいいんじゃないかと私は思うんだけど、どうだろうね?」 「――おっしゃる……通りです」  結葉(ゆいは)が静かに同意したら、(そう)が「けど結葉(ゆいは)……」とつぶやいて。  結葉(ゆいは)(そう)の顔をじっと見つめると、「(そう)ちゃんにだって分かるでしょう?」と眉根を寄せた。 「それはそうだけど……。けど俺、結葉(ゆいは)をどこかにやるとか考えらんねぇんだけど」  (そう)が苦しそうに吐き捨てて。  結葉(ゆいは)も小さく吐息を落とした。  現実問題として、今現在収入のない結葉(ゆいは)はアパートを借りたりすることは無理だ。  そうなると、実家に戻るのが一番現実的ではあるのだけれど。 (一人で実家は……やっぱり怖い……)  実家は偉央(いお)に場所を知られているから。  偉央(いお)結葉(ゆいは)を連れ戻すつもりはないと言ってくれたようだけれど、じゃあ、と言ってそれを鵜呑(うの)みにしてのほほんと実家に住み着けるほど結葉(ゆいは)はまだ図太くなれそうにない。
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