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「少なくとも結葉ちゃんの婚姻生活に何らかの形でハッキリと白黒がつくまでは、若い男女が二人きりで生活するなんてこと、しない方がいいんじゃないかと私は思うんだけど、どうだろうね?」
「――おっしゃる……通りです」
結葉が静かに同意したら、想が「けど結葉……」とつぶやいて。
結葉は想の顔をじっと見つめると、「想ちゃんにだって分かるでしょう?」と眉根を寄せた。
「それはそうだけど……。けど俺、結葉をどこかにやるとか考えらんねぇんだけど」
想が苦しそうに吐き捨てて。
結葉も小さく吐息を落とした。
現実問題として、今現在収入のない結葉はアパートを借りたりすることは無理だ。
そうなると、実家に戻るのが一番現実的ではあるのだけれど。
(一人で実家は……やっぱり怖い……)
実家は偉央に場所を知られているから。
偉央は結葉を連れ戻すつもりはないと言ってくれたようだけれど、じゃあ、と言ってそれを鵜呑みにしてのほほんと実家に住み着けるほど結葉はまだ図太くなれそうにない。
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