29.公宣からの提案

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 山波家(やまなみけ)には常に誰かがいてくれる。  そういう状況ならきっと、結葉(ゆいは)は恐怖に打ち勝てると思って。 「だったらうちにおいで。幸い部屋はたくさん余ってる」  何でもないことのように公宣(きみのぶ)が言うから、結葉(ゆいは)は瞳を見開いた。 「いい……ん、です、か?」  恐る恐る問いかけたら公宣がニコッと笑って「もちろん。むしろ大歓迎だよ」と言ってくれた。 「ちょっ、親父……だったら俺もっ」 「ん? もしかして(そう)もうちに帰って来たくなった?」  クスッと笑って公宣が息子を見て。  (そう)は決まり悪そうに「お、俺はっ。結葉(ゆいは)を守るって決めたからっ! 結葉(ゆいは)がそうするってんなら戻るしかねぇだろっ?」と唇を尖らせる。 「もちろん父さんはお前がうちで寝泊まりするのも歓迎するよ。久しぶりに(せり)(そう)がひとつ屋根の下とか……母さんが知ったらきっと大喜びだね」
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