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「親父はさ、家にお袋が居てくれさえすれば何だって頑張れるらしい」
いつだったか、想が淡い笑みを浮かべながら結葉にそう話してくれたことがある。
「ま、俺もそれ、分からんではねぇんだけどな」
想が言った〝それ〟が、両親に対する思いなのか、はたまた自分が公宣の立場になった時に感じる思いなのか、結葉にはよく分からなかったのだけれど。
ふわふわとした純子を見ていると、ほんわかした気持ちになってくるのは確かだった。
この人を守ってあげたい、助けてあげたい。
そう思わされる不思議な魅力を純子は持っている。
純子がこんな感じだから、芹はハキハキしたしっかり者に育ったのだろうし、想がやたらめったら面倒見が良いのだってきっと。
決して能力的に色々劣っているとか言うわけではない純子なのに、一緒にいるとついつい手助けしたくなってしまうのは何故だろう。
「他に何かお手伝いすることはありますか?」
お昼はキーマカレーにすると純子が言って、結葉は野菜をみじん切りにしたところだ。
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