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「ゆいちゃんは辛口平気?」
ほんわりと聞かれて、結葉は思わず「はい」と答えてしまってから、本当は辛いのダメだった、と思ったのだけれど。
「実は私、辛いの苦手で。私以外みんな辛口がいいって言うからそれに合わせてるんだけど……いつもカレーの後はお水飲みすぎてお腹ぽちゃぽちゃよ」
そこで小さく溜め息をついて。
「誰か一人辛いのが苦手って仲間が増えたら中をとって中辛にしちゃうのに」
と、純子はとっても残念そうだ。
「あ、あのっ。実は私、本当は甘口派で」
意を決して結葉が言ったら、純子がパァッと瞳を輝かせる。
「ゆいちゃん、それ本当⁉︎」
いきなり包丁を持ったままの手をギュッと握られて、結葉は慌てて「純子さんっ、危ないです」と包丁を置いた。
そうしておいて、「本当です」と言ったら、「嬉しい!」と抱きつかれた。
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