30.山波家での生活

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 いつもなら正午には食べられるように支度しておいて、十二時過ぎ頃、勝手にご主人が帰宅なさるというのがパターンなんだとか。 「(そう)がうちでお昼食べるの、ホント久しぶりだわっ」  (そう)は現場に出ていることが多いので、その近くで適当に何かを買って済ませることが多いらしい。 「一緒に住んでた頃はね、お弁当持たせてたんだけど」  食生活が乱れていることが、母親として気になっているのだと、純子が小さく吐息を落とす。 「ゆいちゃんがうちに住むようになってくれたらきっと、あの子、しょっちゅうお昼食べに帰って来るわね〜」  サラリとそんなことを付け加えてくる純子に、結葉(ゆいは)は「そっ、そんなことないと思いますっ」と慌てて手を振った。  それではまるで公宣(きみのぶ)さんと純子さん夫婦みたいだと思ってしまって……そう考えてしまったことに、にわかに恥ずかしくなったから。  それに、(そう)は現場に出ていることが多いと、さっき純子自身が言っていたのだ。
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